すると、由香ちゃんはブレザーの胸に付けられている名札を指差した。

「ほら、そこに星花の校章があるでしょ?これが付いているのはA組の子だけだから。B組以下はついてないの。」

「っ!?」

3つの星を組み合わせた星花の校章。

これが入っている子は、星花生と認められている…。

そう考えると、急に息苦しさが襲ってきた。

心の中が一気に、真っ黒な記憶でいっぱいになる。

「うぅっ…」

「え!?桜夜ちゃん、大丈夫!?」

「だ、だいじょっ、ぶじゃ、ない、かもっ…」

「誰か!!先生呼んできて!」

由香ちゃんの慌てふためく声を聞きながら、私は必死に胸の痛みに耐える。

『お前なんか生きてる価値がないんだ!』

『お前みたいな落ちこぼれが何でのうのうと生きてんだよ!』

過去に並べ立てられた罵倒の言葉の数々。

「ぐぅっ…くっ…」

何も先が見えなかった頃。

私が独りぼっちだったあの頃。

でも、全部が悪かったわけじゃなかったはず。

何か、いい事を思い出してよ、私…

ぎゅっと目をつぶると、目の前を一瞬だけ光が通った。

『ね、桜夜。うちらは、ずっと一緒だよね!』

『うん!私も、ずっと一緒にいたい!』

『嬉しい!ずっと一緒にいようね、大好きだよ♡』