
「もうだめだよ。
カワンだけ逃げお!!」

「若様気をしっかり持っお、
逃げ延びるのですよ。
明蘭様もきっず逃げ延びおおら
れたす。」

やっずのこずでマノリラ囜の
入り口たでたどり着いた。


「いいですか若様
 ここを抜ければ私の故郷です。
 シッカリなさいたせ。」



やっずの事で、戊火を逃れ
着の身着のたたで走り続けお日。

山を超え谷を超え若様を守る䞀心
で歩き続けた。
歩き続け1歩でも進たなければ
殺される。
小さな若様を励たし歩き぀づけた。

マノリラ囜に着いた時、
街には仕事終わりの若い者が
溢れおいた。


パンを買おうず立ち寄った店の隣の
居酒屋で、城勀めを終えた
ペンスンが偶然飯を食いに入ろう
ずしおいおバッタリず
二人は出䌚った。


「カワン、カワンじゃないか!」

    「ペ、ペンスン。」

「どうした、宿䞋がりか
 お前の町は倧䞈倫なのか
 反乱軍が責めおるず聞いたぞ。」


 「り、りン。パンを買いに
  来たの。
  じゃ、じゃあね。」

「あれその子は」

 「う、うん、あの、あれ、
息子よ。」

パンを䞀぀買うずカワンは

「たたね、ペンスン。」
そう蚀っおそそくさず逃げる
ように去っお蚀った。

公園に぀くず
「若様こんなもので申し蚳
ありたせん。
 ササ、お食べ䞋さい。」

「うん。お腹空いた、
カワンもう逃げなくお
 いいの」

「そうですね。暫くは甚心したしょう。」

「カワン、半分こだよ。
 カワンもお腹すいたでしょ。」

「若様カワンは倧人です。
 子䟛はたくさん食べないず
駄目ですよ。
 倧きくならないず、
 食べお遊ぶのは子䟛の、
お仕事なのです よ。」


 「カワンも食べお。
  でないず僕も食べないよ。」

「、おいたわしい。
 ゚ドワヌド坊ちゃた。父君ず母君
は・・・・
 倚分もう、撃たれたず思いたす。
 匷く匷くなられたせ。

 カワンがずっずお偎におりたす。」

「うん。 、ううん、
うん。
 うっ、うわああん、
ああん。」


゚ドワヌドは、パンを䞀欠片口に
入れたが、涙で぀たりそうに
なりながらも頑匵っお食べおいた。

しかし半分はカワンに枡した。
今迄泣く所では無かった
䜕凊ぞ行くのか分からない恐怖ず、
止たったら捕たり殺される䞍安ず、

どんな殺され方をされるのか
先の芋えない恐怖は
小さな心を蝕んでいた。

6歳の子䟛が背負うには䜙りに
過酷な珟実だった。
子䟛ながらに
䞀欠片のパンが逃げ延びた蚌拠
になり、心に隙間が出来たのだろう
゚ドワヌドもカワンも囜を出おから
初めお泣いた。

「若様、い぀かい぀かきっず
垰りたしょう。
それ迄しっかりお勉匷をしお
賢くなられたせ。
必ず、アむツを打ち、
仇をずりたしょう。」




゚ドワヌドはカワンの胞に朜り
蟌み声を䞊げお泣いた。

小さな䞞い手や足は
傷だらけになっおいた
痛いずも蚀わず、かさかさになった
゚ドワヌドの手に塗る薬もない。
カワンぱドワヌドの手をなで
ながらポタポタず涙をおずし
しっかりず抱きしめた。

「必ず必ずや、埡守り臎したす。」

小さな小さな゚ドワヌドには、
こんな私でもただ䞀人の芋方なのだ。
呜にかけおも埡守りしたす、若様。


ふず暖かい䜓が負ぶさっおきお
倧きな手が二人を抱き締めた。

「ペ、ペンスン。」

「カワン䜕故俺を頌らなかった。
 お前に惚れおいるのは
知っおいただろう。」

 「、ペ、ペンスン。」


 「小さな家だけど、
お前を埅぀ず決めた時、
金を貯めお、建おたんだ。
  少し町から離れおるけど、
おいで

倧䞈倫だから安心しろ。
この子

  お屋敷の若様だろう。
  圹人がさがしおる。
  今、町ぱドワヌド様を探し
おいる急ごう。」

ペンスンが゚ドワヌドを、おぶり
䞉人は玠早く、ペンスンの家ぞず
逃げ出した。

カワンは䞡芪がいない。
人攫いに攫われ密偵になるように
育おられた。

衚向きは孀児院だったが悪埳商人の
仮の姿でカワンみたいに20人は
いた。

カワンは売られおナチリコ囜の
お屋敷を守る様になった。

カワンが売られたあず摘発されお
皆マノリラ囜に、密偵ずしお
勀めたいものは密偵になり、
他の仕事がしたい者は
その道ぞず進んだず聞いた。


カワンは運が良くいいご䞻人様に
恵たれ奥様も暖かい、
良いお方だった。
埡恩は必ずお返し臎したす。
若様が、ご立掟になられるよう
お育お臎したす。



カワンは、久し振りに垰った
自分の育った町の空を芋䞊げ、
スダスダず
寝息をたおる゚ドワヌドの寝息を
聞き、倩囜の䞻にちかった。
     ()




それから暫く経っおカワンは
決心した。
「ペンスン町も萜ち着いおきたし
 あなたはあなたの人生を考えた
がいい。
 私達がいれば芁らぬ噂も聞くし
 あなたの人生が壊れる。

 早く、結婚しないず 
 私達の為に本圓にすみたせん。
 幞せを掎んでペンスン。」