子供の声が聞こえ目を覚ました。
紙を持って張蘭がはしゃいでいた。

「張蘭、静かにしないか〜い。」

ヨンスンさんが調理をしながら
にこやかに笑っていた。

手を上げようとしたら、
ズキズキ傷みがはしった。

「はっ、カワンさん?
カワンさんは?
 どうなったんだろう。」

不安が襲って来てガバッと起きる。

「ヨンスンさん!
 カワンさんが、カワンさんが…。」


「琴乃、安心しなさいカワンは
軽いすり傷で 済んだ、
今は山羊の乳絞りに
いってるよ。」

それを聞いた琴乃は心底ホッとした。
張蘭が可愛い目で
「大丈夫? 痛い?」

と心配そうに聞いてきた。

「有り難う!! 張蘭の顔を見たら
痛いけど
 頑張れる気がして来たよ。」

張蘭はまた元気に外へ飛びだして
行った。


ヨンスンさんは山羊の乳を暖めて
少し甘くしてベッドまで持って
来てくれた。

フーフー
暖かい!カップから伝わる熱さが
嬉しい。


「あれからエドワードと三人衆が
お前を担いで来たんだ。

旗があがった日、直ぐカワンと
出かけたが取り合ってくれなくて
中に入れず夜を待ったんだよ。

晩餐会の付き添いに紛れて
入り込んだ。

エドワード書記官も琴乃の回りが
変な事ばかり起こるから
怪しんでたようで
見張りが付いて居たんだよ。

あの時彼等が来なければ
カワンも琴乃も危なかった。
多分生きて居なかっただろう。


殿下には、まだ、晩餐会のお客様が
居られるから、
お知らせしないそうだ。

よその国の王やプリンス、
プリンセスが沢山泊まってるからね。

悪く思わないで欲しい。」 


「どうせ妾ですもん。どんな扱い
にも関係無いんです。
 知らせなく丁度いい具合ですよ。」