『あのー…すみません…七瀬さーん!着きましたよー!』
『んんっ…ん…あ、運転してた人…』
『家に着いたので、玄関までお送りします』
私の事を起こしてくれた女の運転手さんは、そう言った。
『あ、ありがとうございます…』
私、本当、今日はよく寝るな…
『しかし、昴様のお気に入りだから、どんな人だろうと思ったら、想像と系統が違いました…』
『へ?』
私は意味が理解できず、アホみたいな声を出した。
『いやー…あそこまで昴様が優しくする女性は初めてでして…
相当なお気に入りなんだと…
私に連絡をなされる時も、物凄く焦っておりましたので』
『え、あの昴が焦ってたんですか!?』
『昴様は案外、分かりやすいので…
まぁ、本人には分からないようにしてるようでしたがね』
『そう…ですか…』
何だか、そーゆーのは、少し、嬉しいな。
『七瀬様もそのご様子ですがね…ふふっ』
『えっ!?』
運転手さん、まさか私の気持ちに気付いて…
『ふふっ…引っかけですよ…
いやーお二人とも初々しいですねぇ~。
おかげで弄りがいも応援しがいも有りますね』
『うっ!?運転手さんっ!?』
『着きましたね。
では、又、いつか、お会いできたら』
『はっ!はい!!』
運転手さん、とんでもない人だ。
でも、少し、自分の気持ちが分かった気がする。