『なぁ…そーゆーのやめような…
俺、お前と付き合う事が一番嬉しいんだよ…
両立だって、出来るし…
むしろ、好きな奴に応援されれば、どこまでも頑張れそうだし。
そもそもバンドのメンバー、皆応援してくれてた。
だから、俺と付き合えよ…
俺、もう、待ちくたびれたんだけど?』
その、泣きそうな掠れた声は、顔は、今の私にそっくりだった。
『ごめんね…ごめんね…好きだよ…ずっと前から…』
何度も頷きながら私はそう答える。
『そんなに頷くって事は、付き合ってくれるって事?…』
彼は、本当に泣かせに来てるとさえ思った。
それ位胸に刺さる言葉を持っていた。
その言葉に先程からずっと堪えている涙が込み上げてくる。
もう、耐えられなそう…
そう、思った時だった、
『なぁ、泣けよ。彼氏の俺が受け止めてやるからさ…』
本当、止めてよ…
胸に突き刺さる優しさに、私の涙は溢れた。
私達が相手に渡せなかった愛のように、流れ出してしまっては、止まらなかった。
二人で抱き合って泣いた。
涙で服が濡れる事なんて気にせずに存分に泣いた。
それは、二人の絆が、愛情という物で固く結ばれた瞬間だった。