『え、お前どーゆー意『こっちだって精一杯なのに!
本当、バカ!バカ!バカ!!』
意味が不明だった。
何考えてこんな風にバカバカ俺に言ってくるんだ。
『どゆこと?』
俺は素直にそう聞いた。
うつむいていた顔が俺の方へと向いた。
彼女は泣きそうな顔をしていた。
しかし、慰めてほしいわけでもないだろうし、ここは、落ち着くまで待って、ゆっくり答えを聞こうと思って、俺は無言で待つ。
それから少しして、彼女は口を開いた。
『好きな気持ち…堪えてるのに…何でそーゆー事言うの…バカ』
まだ意味が不明だった。
だから、もう少し待つ。
すると、なぜ無言で待ってるのか理解したのか彼女はこう言った。
『君はギターの天才だと思う。
ボーカルと二刀流何かしてるけど、どっちも出来ない私なんかより、ずっと上の存在なの。
コードだって、直ぐ出来ちゃうし、さっきだってそうだった。
だから、私の…私なんかの“好き”って気持ちで邪魔したくなかったの。
仲良く5人でずっとバンドしたかったの。
だから、私…君への好きって気持ち…
友達だからって思う事にしたの!
そしたら誰も困らないし、傷付かないでしょ?』
俺は、彼女が無理に笑っている事なんか誰だって分かる事だと思った。
『泣きそうな顔して、何言ってんだよ…
お前が傷付いたら俺、許さねぇ…』
『うぅ…何で!何で!何でいっつも欲しい言葉ばっかりくれるの!?
どれだけ我慢してるか!どれだけ辛いか知らないで!
何で?何で?…』
彼女はそう言うと黙ってしまった。
重い沈黙の時間が俺達の間を数秒流れただけなのに、何時間にも感じてしまう。
すると、その、重い口を彼女は又開いた。
『ごめん…八つ当たりしちゃった…ごめん…』
彼女の声も体も震えていた。
泣きそうなのを必死に堪えているように見えた。