『はぁ…はぁ…』
俺が無心で走っていた。
すると、彼女が来た。
『こんな時間まで走って…どーかしたの?』
『…何でもねぇ』
『そう?じゃ、一緒に帰ろ』と、彼女は俺の手を引く。
俺がどんな気持ちかも知らないで笑顔でいるこいつにイラついた。
『お前さ、俺の気も知らないで触るなよ』
『え?』
彼女は驚いた。無理もない。
だけどもう俺を自分でさえ止められない。
『俺をこんなに好きにさせたクセに…
何で他の男にも笑顔振り撒くんだよ…
俺がどうして走ってたか?
そんなの苛立たしい気持ちを忘れる為に決まってんだろ』
『え…』
あぁ、彼女に嫌われたくないのに言ってしまった。
『ねぇ、何勘違いしてるの?
私、好きなのは君だよ?』
『え、お前…今…何…て…』
『好きだよ、君が』
『何で早く言わねぇんだよ…
俺、勘違いして…』
それから、俺は彼女を抱き締めて何度も『ゴメン』と、呟いたのだった。