『なぁ、外見だけなのかよ』
それもそうだ。
何故なら彼をよく知らないうちに好きに成っていたから。
『そうだよ』
嘘をつく事は良くないと思い、認める事にした。
『俺はお前の内面も好きなのに何でだよ』
彼は今度は嫉妬しているような怒りの籠った顔をしていた。
しかし、それでも私の意思は揺るがなかった。
只、真っ直ぐに彼を見据えて私はこう言った。
『確かに私は貴方の外見しか好きじゃない。
でも、それは、知らないからだよ。
だって、話したことも数少ないんだから。
でも、外見だけでも好きだと思えた。
目を奪われた。
これは事実だよ。
そして、これだけは自信がある。
君の内面をもっと知れる距離に私を居させてくれれば、私は必ず君の内面も好きになれる。
だから、近くに、側に居させてよ。
もっと好きに成らせてよ。
私は人に何でも負けるのが嫌な負けず嫌いなの。
私の内面も好きな君なら知ってるでしょ?』
私は瞬きをする事を忘れる程に真剣にそう思っていた事を伝えた。
すると、彼は一旦固まり、理解しだしたのかと思えば顔を真っ赤にして壁ドンをした状態でうつむいて目を反らした。
『まじでその真っ直ぐな目と、鈍感過ぎてド直球な事言うとこには叶わなそうだなこれ』
そう、言ったと言うよりかはうっかり溢したように放たれた言葉の続きを静かに私は待った。
『…』
彼は少しして顔を上げて目を合わせてこう答えてくれた。
『俺の近くに居ろ。
俺の彼女として…
未来の俺の最初で最後の嫁として』
『ありがとう』
そう、私は一言耐えきれず顔を赤くしてへなへなと座りこんでしまいつつ言った。
体の力がどうやら抜けてしまったようだった。