『とにかく、一旦お前は帰れよ
親御さんに心配かけちゃダメだからな』
と、促されて、私は気恥ずかしさが少し抜けぬまま、下へと素直に降りていったのだった…

しかし、それだけで終わるわけもなかったのだ。

家に帰ってから制服を脱ごうとした時の事だった。

『何このメモ…』

勿論私自身の物でもなければ、見に覚えの無い、制服のポケットから見つかったメモ。
不穏な空気の流れを感じつつも、恐る恐る開いてみる。
すると…
『これ、先生()の連絡先な?
追加しなきゃ許さないから』
その少ない文章だけで誰からもらったかを悟った。
あの先生だ…
(いつの間に忍び込まされてたんだろ…
流石先生…
覚悟しとけとはこの事か…)
とりあえず親にバレないように、連絡先を追加した後に、さらっと引き出しの中の、小さい鍵つきのお気に入りのケースにしまうことにした。

…結局、これも命取りになるとは、この時の私には勿論、知るよしもない。