『先生!本当にすみません!
何度も居残りに付き合ってくれて…』
可愛い困り顔でそう言う君が好きだなと改めて俺は思った。
居残りに付き合うのは君だからとか言える立場だったら良かったのにな。
何か、悲しいよ、先生は。
『そんなに気にするなら、
成績あげてくれないとなぁ…』
そう、おどけたように言いつつも、成績が上がらないで、ずっと勉強を見てやりたいと思ってしまう。

最近、成績の低い君を見かねたふりをして俺は勉強をよく見ていた。

『はい!頑張ります!!』
その、笑顔が可愛くて、又、居残りに付き合ったりして、漬け込みたく成ってくる。

『でも、頑張り過ぎるなよ…
無理されても困るし』
ボソッと本心が出てきてしまった。
好きな人には無理をさせたくない物だ。
こればっかりは仕方ない。
想いが溢れてしまいそうで、一滴だけ溢れたのが今の一言だ。

『ふぇ?』
可愛く驚く君になら、何とか誤魔化せそうだ。
ゴメンな、狡い大人で。

『無理なく頑張れって事だよ』
と、言いながら、俺は君の頭を撫でた。






俺が君の事が好き過ぎるのを許してくれよ。

その声がまさか届く日が来るなんて、
この時には想像もしていなかった。