私は片想いの相手を呼び出した
単純な自主練…と言うのは口実
彼を少し独り占めしたかっただけ
彼は意地悪な奴らしくないいつもの無邪気な笑顔だった
『じゃ、何すれば良いんだ?』
『トスとかレシーブで私とパス練して』
『了解…よし、始めるぞ』
彼からボールが飛んでくる
私は一つ一つを大事に返す
彼との思い出として大事に大事に返す
彼は私にバレーが本当は好きな気持ちを教えてくれた元部活の仲間
最高の友達にして片想いの相手
すると…
『なぁ、一対一で対決してくれよ』
『え?』
私は驚いて固まり、渡されたボールを返せなかった
『俺が勝ったら言う事聞けよ』
『う、うん』
彼はバレーなんて授業でしかした事が無い筈なのに私に勝った
それ程に必死に戦っていた彼に負けたのだ
『じゃあ、俺の話を聞いて答えろ』
『へ?』
『お前が本気で好きだ
俺と付き合ってくれるか?』
『はい!』彼のような無邪気な笑顔で私は答えた