それは、下駄箱に私が着いた瞬間の事…
下駄箱に着くと、丁度雨が降り始めた所だった
でも、折り畳み傘さえ持っていてない
(ついてないな…)と、ぼーっと立ち尽くしていた
すると…
『君、赤羽 明日香(あかばね あすか)ちゃんだよね?』
『えぇ、まぁ』
『この前のイベントの聞いたよ!歌声凄いね!』
『ありがとうございます』
そう、私は高校生ロックバンドのリーダー兼ボーカル
有名かつ人気に成ったのは良いが、最近皆、私の歌しか見てくれない
私の事を見てくれない
有名人と仲が良いと言う称号目当てに話しかけてくる人も多い
よりによってこの人は私の憧れの先輩
そんな先輩にまで歌しか見てもらえてないのかと落ち込んだ
『傘、持ってないなら一緒に帰ろう
方向同じでしょ?』
『まぁ、駅ですし同じですね』




『君、優しいのは良いけど辛いんなら言いなよ?』

不意に差し出された言葉は私の胸を暖かくした気がした…