急に彼女は倒れた。
俺は、何とか床に倒れる前に受け止めた。
起こしても、起こしても起きないし…
単純に、ライブではしゃぎ過ぎて疲れたのだろう。
ライブ等、アイドルの仕事は全てが楽しいと前に言っていた気がする。
楽しすぎて、疲れる事も多々有るらしい。
今日は、かなりの出来栄えのステージだった。
疲れるのも無理ない。
病気とかでもなさそうだ。
彼女は清々しそうな、満面の笑みのままで寝ていたから、そう思った。
『どうすれば良いんだよこれ…』
仕方ない。俺の家へタクシーとかで運ぼう。
いや、俺の車で運ぼう。
彼女のこんな寝顔は誰にも見られたくない。
マネージャーをずっと理性を効かせてやってきたんだ。
これくらいはファンには悪いが許してくれ。
俺は…アイドルに成る前からファン以上に好きなんだからな。
そう想って、俺は彼女を優しくお姫様だっこしながら、自分の車の後部座席に、寝かせて、スタジオを後にしたのだった…