『なぁ、何するんだ?…』
そう、俺は聞く
何度も来ても、この片想いの相手の部屋の色んな誘惑には慣れない
『うーん…漫画読も!』
彼女…いや…華恋(かれん)は漫画が大好きで、よく読んでいる
沢山と言う程ではないが、そこそこ多い本棚は漫画ばかりが入っていた
『ねー!海斗(かいと)ー!何読みたいー?』
華恋はいつも通り満面の笑みでそう言う
『…じゃー…それ?』
適当に選んだ近くの漫画を取る
華恋の好きな漫画の類いは俺と被ってるので、何れでも良いのだ
新しい物がそりゃ、読みたいけど、買ったら直ぐに自慢してくる
今日は自慢して来ないから新しいのは無いって事だ
『じゃ、読も!』
と、言いながら、俺が取った漫画を至近距離から覗き込んでくる
彼女の笑顔に甘い香り…
『海斗、顔真っ赤だよー?大丈夫ー?て、うわっ!』

急に海斗が熱中症か何かで寄り掛かってきた

至近距離に、華恋も照れたのを知る人は誰も居ない