『教科書無いの?』
私は隣の人にそう聞く
『あぁ』
『貸す?』
無言で頷かれる
『机はくっつけなくても見えるから』
彼は要するに私を嫌っているのだ
皆こうだ
嫌われものは察して生きる、それがルールなのだ
私は察して見えやすいように彼の方に向けて教科書を置く
嫌われものは相手を優先して生きるしかない皆の下僕なのだ
『いや、横にしなくても見えるから』
私を嫌っている彼は嫌そうな顔をする
何をしてもそうだ
だから、気にしない
『別にどうでも良い』
わざと素っ気なくして放置する
嫌われものらしく振る舞いつつも察しないといけないのが嫌われもののルールだ

『はぁ…』

何で素直に成れねぇーんだよ俺は
教科書見せてもらって至近距離成ったら恥ずいからって無いだろこれは
つーか、何でそんなに優しいんだよ
何言っても怒らねぇし…
だから甘えちまうんだろ?
だから…その…

好きだって言えねぇーんだろ…バーカ