それは、タメ口でしゃべってくれる程
仲の良い部活の後輩の
南(みなみ)君と帰ろうと
廊下を歩いている時だった。

『いやー!
しっかし、南君は可愛いよねー
女子なのに私、負けちゃうなー!』
と、私はとある話題に返した。
すると、は突然ビクッとして、
一瞬傷付いた顔をした後に、
『ドスッ!!』
勢い良く壁に両手で押し付けてきた。


『少しは意識しろよ!!
俺だって男なんだからな!!』


そう言うと、南君は手を退けて、
『じゃあな』
と、目も見ずに言って、
逃げるように走っていった。


その時、南君の耳が真っ赤だったことを
本人が知るのは
まだ、先の話。