「岸本~」
授業がやっと全部終わった解放感からざわざわしている教室。私はもうすぐ来るだろう彼を待たせないためにせっせと帰りの準備をしていたら、誰かから名前を呼ばれた。振り返ると同じクラスの持田くんがいた。
「持田くん、どうしたの?」
「一緒に帰らない?」
「翔ちゃんもいるけどいいかな?」
「あ、いや…2人でとか…」
「だめ」
「翔ちゃん!」
いきなり現れて私を後ろから抱きしめた翔ちゃんは、私が答えるより先に断ってしまった。
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