「ゆうひちゃーん!!」
「がんばれー!!」
「可愛いよー!!」

いやもう最後らへん声援の範囲超えてない?
実際可愛いんだけどさ、優妃は。


女子の試合をぼーっと見ている私。

優妃以外に特別仲のいい子がいないからね、一人でぼけっとしてます。

運動神経がいい優妃は、汗のひとつもかかずクールな表情でチームを引っ張っている。
たまに見せるあどけない笑顔が可愛くて。


……って、危ないやつじゃん私。

優妃のことばっかガン見してたらヤバイやつ認定されてしまう。


反対側のコートでは、男子の試合。

ネットで仕切られていてよく見えないものの、たまに上がる女子たちの歓声。

その中に、りつくーん、と叫ぶ声が聞こえて、ついつい目を細めてしまった。

・・・見えないな。

最近視力悪くなってきたかなあ。
高2で裸眼ってすごいって言われるんだけど。

なんて、どうでもいいことを考えていると。


「あーかーりっ」

「うわっ」

いつのまにか目の前で優妃が手を振っていた。

「どうしたの、ぼーっとして」

「ふえ、えっと、優妃すごいなーと思って見てた」

馬鹿正直にそう言うと、優妃が呆れたように笑う。

「あのねえ……。まあいいや、明梨は次試合入ってる?」

「ううん、まだ大丈夫だよ」

「じゃあ見に行こ!律くんの試合!」


目を輝かせる優妃に、私は苦笑い。


「いいけど…、そんなに良いもん?」

「良いもんだよ〜〜!!」

楽しそうだな、好きな人がいるって。