好きって言ってよ、ばか。

いや、私はね、せっかく作るならその人が一番喜んでくれるものを作りたいわけなの。

なのに何でこうなったんだ…!

文字通り頭を抱える私に、律はまた目尻を下げる。

「ほんとにいいってば。ハンバーグはまた今度作って?」

「……うん」

じゃあ、どうしようかな…?
何が冷蔵庫にあったかな…。

ちなみにまだ玄関にいるこの状況。

とりあえず制服脱いで……などと考えていると。


「そういえば今日、父さんと母さんは外で食べてくるんだって。宅配でも頼む?」

「え、それって」

「あ、大丈夫大丈夫!8時くらいには帰ってくるって言ってたから」

「あ、あ、そうなんだ」

どこかぎこちない会話をしながら、こっそりとほんのりと熱を持った頰を隠す。

言うて、律と夜二人っきりだったことはある。

だけどその最後は中学生くらいだったと思う。
高校に上がってからは夜2人とか…なかった気がするな。

律のお父さんお母さんは同じ職場で働いていて、割と忙しいみたい。
だからその時は二人同時に家をあける事が多いのだ。


ちょっと余計な心配しちゃったわ、恥ずかしい!
さすがに、律パパママも年頃の男女を家に二人っきりにしたりしないってのよね!