好きって言ってよ、ばか。

「ただいまぁ……」

はあああ疲れた……。

もう肉体的疲労と精神的疲労のダブルコンボだよ……。

ため息をつきながら靴を脱いでいると、パタパタと駆け寄ってくる足音が聞こえた。
と思ったら、


「明梨!!」


ガバっと後ろから抱きしめられて、意識が急覚醒する。


「うわあっ!?」


女の子らしからぬ悲鳴をあげてしまい、声の主を睨む。
も、相手も負けず劣らずこちらを睨んでいて。

でも、目の奥で憂慮な光が揺れている。

「……心配したんだけど」

「・・・え、あ、今何時?」

時計を見る。

「……6時、か……」

結構頑張ったんだけどな。
まあ帰りはよれよれ歩きだったけど。


「……なんかあったのか?」


「・・・」


肩から伝わってくる震えた熱。

……本気で、心配してくれたんだろうな。


家族として。


…別に、律のことを責める気持ちなんて欠片もない。

私が不注意だった、それだけだもん。


だって、嬉しかったんだ。


律の気遣いに、私はいつも救われてるんだよ。



・・・絶対そんなこと言ってやらないけど。

「…何でもないよ!ちょっと優妃と喋っちゃってたら遅くなっちゃっただけ」

「…でも」

「心配かけてごめんね」

畳み掛けるようにそう言うと、律はやっと私の肩から手を外した。