好きって言ってよ、ばか。

放課後の、静まり返った学校にて。

「…はぁっ…は……」

苦しい。
もともと運動神経悪いのに、全力疾走した結果だ。

息が荒くて、でも誰も見てないし別にいいかと思う。

慣性のままに階段を駆け上がって、自教室にたどり着く。


「…どこ……?」

ぐるっと教室内を見渡すも、切迫した思考のせいか、視界が激流のように流れる。

どこ歩いたっけ、と考えながら自分の机に行くと。

机の中に、白いものが見えた。

ハッとしながら無我夢中で中を探ると、


「あった……」


二枚の紙。

安堵のあまり涙が出そうになる。


のもつかの間、気づいた。

私は机の中にこの紙を入れた記憶がない。


つまり、落ちていたこれを、誰かが私の机の中に入れてくれたって事だ。

「……誰だろう……」

よっぽど、いい人に違いない。

だって、こんなの見たら絶対驚きはすると思う。
なのに、それを黙って私の机に入れてくれたんじゃないかな。

写真とか撮っても、別に私と律が書いた証拠にはならないしね。

……拡散されてたり、しないよね……。

そう考えると、どっと気が重くなった。

でも、そんなの気にしていならキリがない。

誰かに見られてしまったのは確実だけど、その人に野次馬根性…ってか悪意が無いことを祈るしかないな。


私ははあ、とため息をつくと、疲れた足を引きずって家に帰るのだった。