「……ここだよね?」

「うん、多分」

見上げる先には、"2-1"のプレート。


私、もう高校二年生なんだなあ……。


律の家にお世話になってから、もう5年くらいは経つ。



教室に入ると、周りはまだザワザワしていた。

うう、なんかこの空気感苦手なんだよなあ……。
隣にいる優妃を見た。


うわあ川崎さんだ………やっぱ美人………みたいな声が聞こえる。
最も、本人は全く気にしていないみたいだけど。

凛と前を向いている優妃を、かっこいいと思った。

いいな……。
やっぱり男の子は、こういう子を好きになるよね。
性格だって人一倍良いんだし。


きっと律だって。


「・・・」

そんなことを考えている自分に、内心びっくりした。

律ご誰を好きになろうと、誰と付き合おうと、全然関係ないはずなのにな。


その時、チャイムが鳴った。

あわてて席を確認して、座る。

体が強張っているのが分かる。
はあ、落ち着け落ち着け……と自分に言い聞かせながら、前を見た。

ひとりの男の子。

さらさらで、それだけで人目をひく黒い髪。
窓からの光を浴びて輝いていて、思わず目を細めてしまった。