「おまえ、昨日誕生日だったよな?」
 「うん。……覚えててくれたんだ。」
 「当たり前だろう。そんな夕映に、もっと俺が好きになるプレゼントをやろう。」


 得意気微笑みながらそう言う斎に、夕映は思わず笑ってしまいそうになった。
 後ろから抱き締められていた夕映だったが、彼の方に向き直す。斎はTシャツにズボンを着ていた。
 そして、スマホを片手に持っている。


 「私は昔からずっと大好きだよ?」
 「………おまえな……また襲うぞ。」
 「………斎のえっち。」


 夕映がそう反撃をすると、斎は「その通りだよ。」と言って、夕映の唇に小さくキスをした。そして、小さな声で「おはよう。」と言い、また口づけを交わした。
 
 ゆっくりと唇を離し、お互いに目を見つめ合う。そして、クスクスと笑い「これじゃあ、話が進まないね。」と微笑みあったのだ。

 2人はリビングのソファに座り、斎はスマホの画面を見せた。


 「このホーム画面に、本のマークのアプリのアイコンあるだろ?それ、押してみろ。」
 「これ?……うん、わかった。」


 夕映は、斎のスマホを手に取り、そのアイコンを押した。

 すると、英語で「フリー作家の本屋」と出てきた。そして、応募数92件ありとも表示がある。
 夕映は不思議に思い、その1つを押してみるの、英文の物語が表示されたのだ。
 夕映はよくわからずに、斎の方を向いた。


 「斎………これは?」
 「これは無名作家でそして、日本でも出版して欲しいと思っている人が誰でも投稿出来るものだ。ここから選ばれた作品が本になったり電子書籍になって販売される。」
 「………それって。」
 「おまえも、無名作家でいい作品を翻訳してみたいって言ってただろ?」
 「………もしかして、私のためにこのアプリを作ってくれたの?」
 「あぁ。まぁ、アプリというか小さな会社だけどな。」