村を捨ててどのくらい走ったのだろうか…走り続けたその足からは血が滲み出ている。
  それでも…私は…
唇を強く噛み締めた。口の中には鉄の味が広がる。リリーエは休まず走った。人間も獣も死の森として恐れ近寄らない森の奥深くまで走り続けなければ安心することはできない。
いつの間にか村の燃える明かりが遠くになり、辺りには静寂が広がる。
  ついにヴァルキュリアの森まで来たのですね……
ヴァルキュリアは、死神として周囲の者たちから忌み嫌われてきた。ヴァルキュリアは老婆だと言う者もだといれば、死者だと言う者もいる。