心配そうに訊ねてくる先輩に、俺は「大丈夫っす!」と言って全速力でその場を後にした。

家に帰ってプリントを見て、「サイエンス部」と書いてあっても、俺は先輩と楽しく実験するだけだろうと甘く見ていた…。



俺はあの先輩に恋をしている。一目惚れだ。

まだ先輩の名前もわからないけど、俺は直感でわかる。先輩は俺の運命だ!!

入学式の翌日は、放課後に体験入部ができる。俺はサイエンス部にしか行かないと決めていた。

「こんにちは〜!!」

サイエンス部の部室を開けると、四人の男女が部屋にいた。あの先輩は、一人の男子に笑顔を向けている。あのにやけた顔をしている男子、殴りたい。校内スリッパが青ということは、俺と同じ一年だ。

「こんにちは!!」

大きな声で言うと、先輩たちはこっちを向いた。あの先輩は「わあ〜。昨日の子だよね?ホントに来てくれたんだぁ〜!」と笑う。かわいい。

「はい!山本大地です」

俺が頭を下げると、先輩は「私は星野優愛(ほしのゆあ)。このサイエンス部の部長をしています。よろしくね〜」と言う。星野先輩…。いい名前だ…。

この部室は、サイエンス部という名前にふさわしく、様々な実験器具や、植物図鑑、人体模型などが置いてある。

「この部活には、三年生しか今のところいないんだ。あそこで実験してるのが、河合透(かわいとおる)」