どんなに遠く離れていても

6月29日 金曜日
1ヶ月を越える地獄だった生活が終わる日。
前日一緒に泊まった相手に山崎の家の近くまで送ってもらった。
朝8時頃。鍵を開けると既に山崎は仕事に行っていた。
そして部屋の荷物をまとめ始めた。
洗濯物も取り、服やメイク道具、バック、ヘアアイロン。
いざまとめてみるととても大荷物になった。
お風呂に入り、身支度を整え、私が山崎に渡してしまっていた物をダメもとで探した。
思いのほか早く見つかった。
裕輔にはスクリーンショットで山崎とのラインのやり取りを送っていた。
結局昨日は朝の4時まで私に付き合ってくれていた。
「仕事でしょ?早く寝なくて大丈夫??」
そう言うと彼は…。
『そんなん大した事ない!』って。
そのまま裕輔は寝ずに仕事に行った。
ラインにはたくさんの電車や新幹線の情報が送られてきていた。
準備が終わると荷物が多かったからタクシーを呼んだ。
駅に向かう途中タクシーの運転手にミラー越しに白い目で見られた。
午後0時30分。裕輔は仕事中にもかかわらず事あるごとに私を心配し電話をくれた。
『今どこにいる?』と。
方向音痴な私は全て裕輔に調べてもらったのを色んな人に見せながら東京駅に着いた。
そこから新幹線に乗り換えるのに、切符の買いかたすら分からなかった私は裕輔にテレビ通話をした。
何もかもが初めてでとても不安だった。
逃げ途中に何回も山崎からラインが来てすごい怖かった。