簪を落とさないように懐にしまい
つぎに私達は甘味屋へと向かった

お団子とお茶を注文し
串をつかもうとして手を伸ばした
けれど

「あっ、あれっ?」

「どうした?」

「いっ、いや!なんでもない」

目の前にある串を私は掴むことができなかった
3度目にしてようやく掴み、口へと運んだ

「すごいおいしい…!」

「まぁあの甘味好きの土方さんの
行きつけの甘味屋だからな」

「土方さんって甘いもの好きなの?
すごい意外だね」

あの人は無類の甘味好きだからな、と言って
ひと口、またひと口と口に入れる沖田さん

私はその間ずっと唖然としていた
串を掴む瞬間、私の手が少し
透けていたことに