私は土方さんに呼ばれ二人きりになった
小さな机に、行灯、本棚
今で言う書斎というような場所かもしれない

向かい合って座り、一呼吸置いてから

「お前、どこから来た?」

土方さんは怖い顔をしながら私にそう尋ねてきた

「北海道です。えっと…この時代で言う蝦夷です
川で溺れてしまったところを
沖田さんが助けてくれたんです」

「蝦夷?ここからだいぶ遠いな
馬を走らせても1日2日じゃ着かねーな」

「そんな……」


ふいに、さっき沖田さんが言ってた言葉を思い出した
”とりあえず死なずに済んで良かったな”
私、本当にこのまま斬られちゃうの?

……いや、でもあれを言えば助かるかもしれない

死なない為にはやっぱり
あの言葉を言うしかないの?
大丈夫、死なない為、生きる為……

声出ろ!!


「……私、沖田さんの事が好きなんです
お願いです。ここに置いてくれませんか?」