薄闇の中、少女の熱っぽい声が漏れる。
「あぁ、なんと麗しい…」
 彼女の視線の先には、銀縁の写真立てに収められた一枚の写真があった。
 蝋燭のささやかな灯りに照らし出されていたのは、黒髪に金瞳の麗人―――我らが魔王陛下である。
 写真は先日の園遊会で撮ったものだ。
 貴重なカラー写真を撮影することのできる最新の写真機に加え、遠くからこっそりと撮るための望遠レンズ、最後に現像代を加えると、ひと月の使用人給金の半分近くを費やしてしまったが出来映えは大満足できるものだった。
「陛下…」
 うららかな日差しの中、賓客に向けられた主の優雅な微笑みが眩しい…。
「お慕い申し上げています…」