ちらしに載ってた会場名と地図を頼りにそこに向かうと、そこは立派なホテルだった。名前だけなら聞いたことがある。ここら辺でも結構高級なホテルだ。
宿泊はもちろんだけど、結婚式も挙げられるし、レストランはいかにも女の子が好きそうなオシャレ感が漂うもの。
ちょっと前、吉住が仲良くしてる女の子に『ここ行きたい』と誘われたと言ってた。その女の子も誰かのSNS投稿で見て行きたくなったとか。
てか……明らかに場違いだよな、俺……
宿泊にしろ、レストラン利用にしろ、ちょっとやそっとの金額では入れないその場所を、さっきからいかにもお金持ちそうなお洒落な人たちが出入りしている。
でも逆を言うとシェヘラザードのイベント会社って言うのもしっかりした会社だと言うことだ。
ちらしの隅に書かれているシェヘラザードの勤めている社名『Shalimar』……何て読むんだろ…シャリマーかな??の催事場は案内が出ていてすぐに見つかった。
そこは1フロアを贅沢に貸しきった…きっと結婚式場にも使われるんだろうな…場所で、上質な絨毯の上をそろそろと歩いてると、これまた子洒落たガラス製のカウンターが見えてそこで見知らぬ女性が二人スーツ姿で、客だろうと思われる人たちに案内をしている最中だった。
「いらっしゃいませ。Shalimarのイベントにようこそお越しくださいました。お名前を窺っても?」と案内嬢に聞かれ
名を名乗ろうと思ったが、はて??シェヘラザードが俺の名前を知ってるのかな、と言う疑問が浮かんだ。シェヘラザードを呼んできてもらおうかと思ったが、俺彼女の本名知らないじゃん……?
どうすればいいのか分からず動揺しまくってると、その様子が不審だと思ったのか案内嬢は怪訝そうに眉をひそめた。
ヤベっ……どーしよ…
と思ってると
「あ、君!来てくれたんだ~!」
と、ファイルか何かを手にしていつものスーツ姿でシェヘラザードが向かってきて、ほっとした。



