SHALIMAR -愛の殿堂-




「ちょっ!ちょっと待て!俺一人で行けって言うのか!?」


そんなの無理っ!


ムリ無理無理!!


と一人で青くなって喚いてると


『あのさータケ、これ言おうと思ってたけど、もし由紀恵さんと付き合うことになっても俺同伴とかできないのよ?分かる?


今日俺が居なくて出来ないこと、この先できるわけねーよ』


とあっさり言われて


ま、まぁ確かに。と納得する自分も居る。


「で、でも約束だろ!それは人的にどうなの!?」と尚も喚くと


『あ、わり~女の子来ちゃったみたいだから、またな』とあっさり言われて


プツ!ツーツー……


と虚しい電子音が聞こえてきて、


「マジかよ」


俺はその場に思わずしゃがみ込んだ。


どーするんだよ。


吉住のヤツ、ドタキャンとか!マジでありえねー!


…って、まぁ吉住を責めるのは間違ってるよな。悪いのは俺。


吉住と言う『超』適当人間を誘った俺が悪いんだよ(泣)


―――……どれぐらいそうやっていただろう。項垂れていても時間だけは無情に過ぎていく。


イベントパーティー開始まで時間は刻一刻と迫ってきている。


と、とりあえず電話!電話で行けなくなったことを説明しよう!とスマホを取り出すも


「俺……シェヘラザードの連絡先知らねーじゃん……」


再びガクリ


イマドキ、こんなんで好きだ腫れたとか言える自分も凄いと思うよ。


どうしていいのか分からず真っ黒な画面のままのスマホを手に佇んでいたが、いいアイデアなんて当然浮かんでくるわけでもなく


……行く…しかねぇか。


と決意したのはそこから十分ほど経ってた。


だって何も言わずブッチしたら、それこそ彼女を裏切るようなことだろ?それだけはしたくない。


今からならゆっくり歩いたって開始5分前には着ける。


そうだ、ゆっくり歩いてその間に考えを整理しよう。


何とかそう思って俺は会場の方へ足を向けた。