SHALIMAR -愛の殿堂-



この日は晴天だった。


一週間、ぐずぐずと冴えない天気が続いていたのに、ここにきて晴れるとか、縁起が良い気がする。


俺は朝からイベントとやらに着ていく服に悩んだり、髪型をあーでもない、こーでもない、といじくりまわしたり、と何だかんだであっという間に夕方になっちまった。


結局、吉住と話し合った結果、服装はスーツ。何と言っても婚活パーティーみたいなものだって言ってたし年上のお姉さまが多いって聞いたし無難だろ。


と言っても持ってるスーツは一着で、大学入学のときに買ったものだから、そのままリクルートスーツになるって言う……まぁ絵に描いたような「真面目」な姿だったが、髪はいつも以上に念入りにセットしたし、この日のためにネクタイも新調した。


深いブルー色は、ここでも「無難」色だったけど、何と言っても大好きなシェヘラザードのイベントだから、俺がヘマをするわけにはいかない。


彼女に恥をかかせたり、顔に泥を塗るようなことをしたくないのだ。


持ち物を念入りに確認して、「いざ出陣!」となったが


吉住との約束の場所に、約束の時間ヤツは現れなかった。


約束時間を10分もオーバーしたところで吉住から電話が掛かってきた。


「おせぇよ、今何時だと……」と小言の最中に





『悪り~行けなくなった。急きょ合コンの人数合わせで頼まれちまってさぁ』





と、あっけらかんと言われて



はぁ!!!!??