SHALIMAR -愛の殿堂-


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「はぁ!?由紀恵さんちに行って、しかも彼女を抱いただぁ!?」


次の日、例の如く俺は吉住に相談した。ここは大学構内の食堂で、A定食を奢ってやる代わりに話を聞いてもらってる最中。


吉住の意味深な言葉に、同じように食堂で飯食ってる学生から好奇の目を向けられた。


「抱いた、とか言うな!!人聞き悪い!


抱きしめただけだっ!」


ついでに“由紀恵さん”かどうかも知らねーしな。


ホントはこいつに恋愛の進捗なんてあれこれ報告したくないけど、でも頼れるのってこいつしかいないし。


吉住は今日のA定食、スパゲッティナポリタンとチキンカツと言うこれまた胃に悪そうな組み合わせをガツガツ食べながら、それでも話は聞いてくれる。


「ふむふむ。で、勢いで告って、その後の返事は?」


吉住は興味津々と言った感じでワクワクと聞いてくる。


「聞いてない」


俺も吉住と同じA定にしたけど、麺はパサパサでおまけにゆで方が悪いのかあちこちで固まって絡まってるし、ケチャップもケチってあるのだろう、あまりトマトの味がしないのに塩味だけはやたらと強い。


はっきり言ってマズい。


それに比べたら昨日由紀恵さん……もといシェヘラザードの所で食べたパスタは美味かったな。マジで店開けるぐらい。


「聞いてないって、お前……どーすんだよ。一週間後、由紀恵さんとこのイベントにも参加するんだろ?それまでに何とかしなきゃ。


返答しだいではキマヅさ倍増じゃん?」


とあっさり返され、


そーなんだよねー……


ガクリ


俺は項垂れた。


まぁ、フラれる覚悟はできてるけど……


だってこの俺が、あの元カレと比べて勝ち目なんてないじゃん。


と、もう負けモードの俺。