SHALIMAR -愛の殿堂-



「はぁ!?あの人が由紀恵さん!」


「しっ!声がでけぇよ!」


俺は慌てて吉住を睨んだが、


「ま、まさかまさかの展開じゃん」と吉住も目が点。


あぁ


知られたくなかったよ。


知られたら最後。


「俺、お前の部屋に遊びに行く!♪♪」


やっぱそうなるよな~…


女好きの吉住が美人のアイスクイーンを放っておくわけない。


しかも彼女とは週に何度も会話を交わすことを知っているし。


もはや言い逃れは不可能。


俺は早々に諦めた。




―――


結局、俺は吉住がバイトを終えるまで、何故かバイト控え室で待たされた。


ってか彼女が鮭弁当を分けて待ってくれてるかもしれないのに。


てか俺、腹減ってんだよ!!


と、怒りながらもやっぱり時間だけが気になり、


吉住が終わると、俺はヤツを引っ張って走るようにマンションに帰った。