「俺は―――やっぱり好きになった人には俺だけを見て欲しいって願望がありますけど。 毎日一言でも声を聞きたいし、顔を見たいと思いますけど…」 素直な感想を口にすると、 くすっ 彼女はまたも低く笑い声を漏らした。 考えが子供ね、とバカにされたのかと一瞬思ったけれど、どうやらそのつもりじゃないらしい。 「ねぇ。千夜一夜物語って知ってる?」 彼女の問いかけが風に乗って届いた。