「…迷いが見えるのは気のせい?」

さつきさんの言葉に立ち止まる櫂は、外を見つめて言葉を零す。

「"healer"として生きるには、それなりの孤独を覚悟しておかないと行けない。だが、揺らぐ日も無くはないだろう?」

櫂の瞳の奥に、深い孤独を感じたさつきさんは彼を抱きしめた。

「後、三ヶ月の生命…お父さんをちゃんと看取ってあげる為にも、"無垢"を止めなきゃね…。」

さつきさんの頭上で、鼻をすするのが聞こえる。

「俺を泣かすな…。ったく、メガネが濡れたぞ。」

そう言ってメガネを外し、涙を拭った後だった。
彼の視線の先に、ある男の子が映るのだが…

「……なんだ?あの子。」

「え?どの子?」