「貴斗!!帰るよ!!」 分かってる。貴斗は優しいだけ。 でも貴斗が優しくしていいのは私だけ。 私だけの貴斗になってよーー……… 「莉愛。今日は一緒に帰れない。ごめんな。」 申し訳なさそうに私を見て言う。 嫌だ。本当はこう言いたかった。 「そっか。じゃあお先に!」 足早に教室を出る。 いつも貴斗の隣に行くのは私の方。 貴斗の方から来てくれたことなんて一度もない。 それでもいい。貴斗が離れていくことが怖いだけ。 だからこのままでいいんだ。