そう言うとカレはポッケからケータイを出して見せた。



「なぜ?なぜアドレス交換??」


「なぜって…メールしたいから。」


「だからなんで?失礼だけど…あたしたち話したこととかない…よね?」



「その…あーもうハッキリ言うと俺、美園サンが好きなんだ。」






…………出た。



「ごめん。今は誰とも付き合う気ないから、アドレス交換もできない。じゃ。」


「え、ちょ…」



あたしは一方的に話を切り上げると教室に戻った。



「あ、おかえり。」


紙パックのイチゴミルクをすすりながらマキマキが横目で見た。


「ただいま。」


「何の用だったの?」


「なんか、好きって言われた。」



『また!?』


航太と龍仁がこれでもかってくらい目を丸くした。



「なに、その“まさか!なぜお前が!?”みたいな反応。若干腹立つからやめて。」


あたしはキョトンとした表情の二人をにらんだ。



「だって……なぁ…?」

「うん…ねぇ…?」


「勝手に二人で納得すんな!」


「もったいなーい。入学してから今ので3人目でしょー?」


「みたいだね。」


「サーコの中身を知ったらコクる気も失せるだろうけどな。」


「うるせーっ。」