「ちぇ。ケチー。」



「ケチとかそんな問題じゃないの!」


「いーやケチだね!てゆーか過保護?」


「親は過保護で当たり前なんだよ!」


「過保護すぎは問題でしょ!」






ちょ…




「こんなとこでケンカしないでよ。てゆーか…ケンカするヒマあんなら手伝えっ!」





はあ…


頭痛いよ。








ボストンバッグいっぱいに荷物を詰め、着替えを済ませ、身仕度を整えた。




「じゃ、気をつけてな!なんかあったらすぐ電話しろよ。」


「はいはい。」



玄関でスニーカーを履く僕の後ろで父さんが声をかける。



「あと、迷子になったらお巡りさんに聞くんだぞ。」


………………


「あ!あと!知らない人にはついてっちゃダメだぞ!」


……………………




「あとー…」

「もういいわ!はじめてのおつかいかっ!てか、心配してほしいとこはそんなとこじゃないんですけど!」



思わずツッコミを入れる。



「わっはっは!そんだけツッコミ入れる元気がありゃ大丈夫だな!」


「わっはっはって…いや全然おもしろくないかんね。」



「達者でな~。」



「旅人か!はぁ…じゃ、行ってきます。」