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あの瞬間、あたしの足は無意識のうちに駆け出していた。


頭より身体が先に反応してしまった、ってカンジ。


気付いたときは公園を飛び出して大通りを突っ走っていた。


走るの嫌いなクセにこんなときはどこまででも走れる気がした。


気がしたし、現に走れていた。


マラソン大会もこの勢いでガンバレよ、と心の中でツッコミを入れた。


走って何かが変わるわけじゃない。


だけど、あの現場にはいられなかった。


耐えられなかった。


見に来るんじゃなかった、


頭はそれで、後悔の念でいっぱいだった。



大体、

信じるとか言ってたクセに、のぞきまがいのことしてる時点であたしは信じきれてなかったんだと思う。


絶対大丈夫って思うキモチと、もしかしたらヨリを戻すかもしれないって思うキモチが半々にあって…


いや、ヨリ戻すかもしれないって思いのほうがちょっと上回ってたけど…うん。


決定的な


あの現場を見て


あたしのキモチは確信へと変わった。




龍仁は



あたしを七海ちゃんと重ねていただけなんだ。


大事だと言ってくれたキモチはウソじゃない、それはわかる。


だけど、それは結局頭のどこかにいた七海ちゃんと無意識のうちにあたしを重ね合わせていただけなんじゃないかな、なんて。