部屋着に着替えてリビングでアイスティーを飲んでホッと一息。



ホントに今日は疲れた…


朝早くから学校行ったと思えば龍仁の元カノちゃんに会っちゃうし…




可愛い子だったな…



可愛くて女の子らしくて人懐っこそうなカンジで…



あたしにはないイイトコがたくさんある子だったなぁ…





「はあああぁ…」


大きくて深いため息をつくとカーペットの上にゴロンと倒れこんだ。



あたしの知らない世界。


きっと七海ちゃんはあたしの知らない龍仁も知ってるんだろうな…


なんだこの置いてけぼり感…



「なんかが転がってるんですけどー。しかもちょっと病んでるしー。」



同じく着替えを済ませ、部屋から出て来た龍仁が横たわるあたしを見ながら言った。



「…疲れてんだよ、色々…あはは…」


ムリに笑ってみる。


完全な空笑い。







「………七海に、会ったんだって?」

「!?」



あたしはガバッと身体を起こした。メガネをかけ家モードの龍仁があたしの前にヨイショと腰を下ろしたのであたしはなぜか慌てて正座をした。



「………それで今日ずっとそんな顔してんでしょ?スルメが歯に挟まったような…」

「お前もかいっ!まぁいいけど…」



なんなの、スルメが歯に挟まったような顔って!よく使う例えなのか!?


「事情は航太から軽く聞いた。」


「は、はい。」


「サーコとこれから向き合ううえでやっぱり七海のことは話しておきたいんだ…」


「…はい。」


「聞いて…くれる?」

「…ぜひ。」



あたしはゴクリとつばを飲むと、両手の拳をヒザの上に置いた。