「相変わらずきったねー部屋だな。」


「うるせー。」





様子を見に来た楓が腕組みしてボソッと言う。




「床とかぁ、あ!ほら窓のサッシとか、ホコリで白くなってんじゃん。窓ガラスは手あかついてるしよ~…ないわー。」


「お前は姑か。」




そうそう。

そんで兄の楓はおもしろいくらいあたしと真逆。


キレイ好き


を通り越してほぼ潔癖!



朝と夜、2回は必ず掃除機かけるし、DVDも本も雑誌も置き方にこだわりあるし、ヒマさえあれば絶対コロコロでゴミ取ってるし、



少なくともあたしはこんな女々しい男と付き合いたくない。



雑誌を見てワーキャー言うてる女子たち…




コイツのマトモなのは見た目だけだから変に期待しないほうがいいと思うよ。



マジで。





「じゃあ必要最低限、今すぐ必要なヤツだけ車に積むか。」


「おう。」






向こうに行ってすぐ使うモンだけ入れた段ボールとマイトランクを楓の車に押し込む。


他の荷物はちょうどいいタイミングでやってきた引っ越し屋に頼んだ。