学校ではすでに朝早くから各クラス準備に追われていた。教室に向うまでに、バタバタと廊下を忙しそうに動き回る生徒を何人も見た。


みんなやる気マンマンなんだなぁ…


正直あたしのやる気は衣装づくりに全部持ってかれたらしい。


教室のすぐ目の前まで来たとき、誰かがあたしの肩を叩いた。


「おはよー!サーコ☆」


「ギャアッ!」


「わっ!なに、どうしたの?そんな驚いて。コッチがビビるよ~。」


肩を叩いたのはマキマキだったらしい…が、マキマキの口の端から結構な量の血が流れていた。


「いや、だって………血、血!血出てますよ!」


慌てすぎて敬語。


「血?………あー!これね、これ血糊。血ーのーりー♪一度やってみたかったんだよね~。うっかり拭くの忘れてたよ。」


「血…のりか…超焦ったし!人騒がせなことしないでよ!」


「ごめんごめん☆」


こう見えて結構ビビり屋なあたし。


「よし、ふたりもきたことだし…さっさとメイク終らせるよ!」


「てか早く血拭いてくれる?」




オバケ担当の子にメイクをしていく。と言っても簡単で、顔を真っ白に塗って目のふちを黒く囲んだり、血糊を返り血に見立てて顔につけるくらいで、あんまり高度なテクニックはいらないのだ。