電話を切り、むっくり起き上がる。


……龍仁は起きてんのかな。


リビングへ行こうとドアを明けた瞬間、反対側の龍仁の部屋のふすまがガラっと開いた。



「あ。」
「あ。」


「もしや、航太からの電話で起きた?」

「そうゆうサーコこそどーせマキマキからの電話で起きたんだろ。」


「…………………」
「…………………」



「…ウチらってホント朝弱いよね。」

「…うん。」


二人して電話で起こされてるとは…


今日は朝食抜き。

作るのめんどいし、早く学校に行かなきゃいけないから時間がない。


各自、身仕度を済ませ家を出た。


あの日から龍仁とは特に何も変わったことはない。


お互い意識しあってる仲とはいえ、付き合ってないし、とにかくあたしも龍仁も気まずくなるのだけはイヤだったので二人で「変に意識しない。あくまで普通に。」を心掛けていた。


そんなの心掛けてる時点でフツーじゃないけどね、うん。



恋をしてるハズなのにしてないみたいな…

休戦中というか…

今はそんな感じ。


学校までの道のり、

早いせいか人の通りもまばらだった。


「…ねぇ、前から思ってたんだけどさ、アンタもっとシャキっと歩けないわけ!?」

「えー?」