「そ、それじゃ失礼します…」


ヨイショと背中にもたれかかるようにして乗っかる。


「うし…立つよ、ちゃんとつかまってなよ。」

「うん…」



あたしを背負い立ち上がると龍仁は片手でまわりの木を掴み、もう片方であたしを支えながら崖を登り始めた。


なに、コイツ。
意外にタフなんですけど…!


色白でボーッとしてて筋力なんてなさそうに見えるのに…龍仁も男の子なんだなぁ………




「…っだー!よっしゃ。登りきったー。大丈夫?足ヘーキ?」


なんとか崖を登りきるとあたしを背負い直しながら尋ねた。


「うん…あたしは大丈夫だけど……アンタのほうこそ大丈夫なの!?」


「うるさい、余計なお世話だよ。男の子なめんじゃねーぞ。」


「は、はいっ…ごめんなさい!」



もはや人格変わってない!?コイツ…



てゆーか、おんぶされるなんてどんくらいぶりだろ…


中学の騎馬戦以来?

まさかこんな状況でおんぶされるなんて…




龍仁の背中は意外におっきくって、なんだか安心する。

ワシャワシャした髪の毛からはシャンプーの香りがした。


なんか




ホッとする。




「龍仁……」


「なに。」




「…ありがとう。」


ホント、助けにきてくれたときはアンタがスーパーマンに見えたんだ。

すごくホッとしたんだ。


不器用なあたしだけど、ちゃんと感謝してるかんね。



「どういたしまして~。」