あたしは「はぁ~」と大きくため息をつくと天を仰いだ。


「…………コー……」







ん?


「…ぁーコ~………」



んん!?


風でザワザワと鳴る木々の中から人の声がした。聞き間違えじゃない!



「あのーッ!すみませーん!たすけてー!」


あたしは力いっぱい振り絞るように叫んだ。


神様仏様ビリケン様!なんでもいいからお願い!
声よ届いてっ!




「あっ!見つけた~!」


「……龍仁!」



見上げると崖の上から龍仁がのぞきこんでいた。



助かった…


たすかったあー…



ホッとしているうちに龍仁が軽快にすべり落ちあたしの前に現われた。


「大丈夫?」


「…………りゅ~じ~ん~……うう~……」


龍仁の顔を見たらガマンしていた涙が一気にあふれ出した。


たぶん顔とかぐしゃぐしゃ。



「うわっ!なになに!どうした!?」


「足いたいー!ぐねったー!弁慶ぶつけた~!歩けないー!」


気付くと腫れ上がっていた場所が真っ青になっていた。



「なにこれ!ヤバいじゃん!う~ん…とりあえず電話電話…」


そういうと龍仁は携帯を取り出し電話をかけ始めた。


「あ、もしもし。うん、見つけた。ケガしてるみたいで…とりあえずさっきの入口のとこで…うん。はーい。」