「すいませーん!誰かいませんかー!」


「………カァカァ」




……………………



「………………ああぁ…もう!」


あたしの必死な叫びもカラスにしか届かない…


耳を澄ませても足音さえ聞こえない。空を見上げても高い木が生い茂っていて隙間からしか見えない。



まさかこんな都会のど真ん中で遭難に合うなんて誰が思っただろうね。


誰も思わないよ。


誰か来るかな…


てか来てくんなきゃあたし野宿だよね!?




足さえ平気なら意地でも登ってやるのに~!



はぁ…



誰か助けてよ。



湿った土のせいでお尻も背中も冷たい。

あたしは今にも泣き出しそうだったが、腕で涙を拭った。



―――――――――


「一応二手に別れよ。見つかったらお互いのケータイに連絡。」


龍仁がジャージのポケットから黒いケータイを出した。


「了解。じゃあ俺マラソンコース見てくるわ。お前そっちな。」


「うん。」




――――――――

なんかホントつくづくついてないなぁ…

嫌いなマラソン練習も豪華商品のために頑張ったのに…結果こんなことに…


あんまりがめついから神様もついに見放したんじゃないの、もしや。


あ~


お腹すいたなー


てかどんくらい経ったんだろう。


もうみんなとっくにゴールしてるだろうな…



あたしがいないとか言って学校大騒ぎしてたらどうしよ…

超ハズイじゃん!
ださっ!
かっこわる!


むしろ気付かれてないパターンも考えられるけど…なんならそっちの方がまだいいんですけど…


もうとりあえず帰れれば何でもいいよ…