やっと冬の寒さを抜け出して暖かくなってきて春を感じる。

桜がひらり、ひらりと舞い落ち、桃色の絨毯を作っていた。

紺のブレザーとプリーツのスカート。

アクセントに女子は赤、男子は青のラインが入ったブラウス。

おしゃれと有名な制服に身を通し、私は期待と不安を胸に門をくぐった。

心臓がドキドキとなっていて、かすかに手が震える。

星東高校の入学式。

「奥に進んで下さい~。」

先輩らしき人物からクラス分けの紙をもらって体育館へと進む。

体育館の中は話し声が響いて割とにぎやかだった。

指定された席に座ってまわりをちらっと見ると、ほとんどの人が知り合いだろう人と話していた。

私は知り合い、少ないからなぁ。

プリントに視線を落とすとクラスの人の名前が書いてあった。

野口 水夏は...1組だ。

あ、林田 奈々と広瀬 太一が一緒だ...

奈々は中学校が一緒だったんだけど、どうも苦手だ。

かわいいし勉強もできるんだけど、なんというかわざとらしいとこがある。

んー、言ってしまえば男子に媚びているってこと。

広瀬は私の初恋の人。

小学校のころは仲良かったけれど中学が別々になってからは距離が出来てしまってなんとも気まずい。

ほかに知ってる人はいない。

はー、大丈夫かな、高校生活。

うまくやっていけるかな。