「はぁっ?なんでだよ」

予想外の私の答えがお気に召さない彼は、眉間にシワを寄せ、イケメン顔に凄みが増す。

怒ってても、カッコいいな…なんて思う辺りで、もう彼に恋してるんだと思う。

だけど…

彼と会話しているだけで、女性達からやっかみや誹謗中傷、彼には不釣り合いと言われ、こちらの言い分など聞いてももらえずに、さっきまで嘆いていた。

話していただけでこれなのに、もし付き合って彼と恋人同士だと彼女らに知られた時には、どうなるのだろう?

砂羽さんのような綺麗な人なら、誰も文句は言わないのだろうが…

向井さんなら、彼女持ちだろうが関係なしに素敵な女性達が沢山寄ってくるだろう。彼は前の彼とは違うとわかっているけど、わかってるんだけど…勇気を出せば新しい恋が目の前にあるのに、あの時の辛さが忘れられないせいで、言い訳を探して尻込みしている。

「私じゃなくても向井さんなら、お似合いの人が…」

「はぁっ?お前のその口はさっきから否定しか出てこないのか?揶揄ってるとか、無理とか、自分じゃなくてもとか…俺が聞きたいのは好きか嫌いかどっちかなんだよ!」

クッと喉が詰まる。

「何を怖がってるのか知らない。俺の好きって気持ちを信じろ」