触れられると、くすぐったいようで、ジンジンして、触れられてもいない体に甘く痺れが走って、甘い吐息を吐いてしまう。

「その顔を見ていいのは俺だけだ」

何言ってるんですか?と口に出せないのは、彼の訳のわからない行動に呆れているからだと思い込もうとしているが、羞恥心で声が出せないだけだった。

何のプレイなんだ?

恋人でもないのに…

先程から彼の行動は、まるで私を好きだと言ってると勘違いしそうだ。

彼にしたい人No.1が、どこにでもいる平凡な顔で、特に秀でた才もない私を…

誰が見ても、ないないと首を振り笑うだろう。

今ある少ない全理性を掻き集め、傷つく事が怖いから…

「なんのご用で来たのか知りませんが、揶揄うだけなら、帰ってください」

彼の目尻がヒクヒクと引きつっていた。

「わかんねーのかよ」

わかりたくありませんね。

まだ、体に残る甘い痺れに打ち勝ち、キスされていた手を振り解いて、今度は足を踏ん張って彼を押せば、彼の足が一歩下がった。

経った一歩に、はぁ、とため息をついて、『帰ってください』と玄関を指差して、意思を伝えれたことに満足する。

やればできるじゃない…なんて。